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肩こり・腰痛は肩甲骨や骨盤の「ゆがみ」があるせい?姿勢が悪いせい?
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何もないところでつまづく。なぜか左足だけ片足立ちができない
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スクワットの際どうしても重心が後ろへ行ってしまう

このような意見やお悩みを耳にする機会があったので、一例を紹介してみようかと思います。

今回紹介するのは本人が気づいていない程度の神経症状でも運動機能は障害され、トレーニングや日常生活に支障が出ている可能性がありますよ…というお話です。

ゆがみ?姿勢が悪い?バランスが悪い?神経症状が原因かも

身体の「ゆがみ」とは良く耳にしますが、そもそも専門用語ではないのでおそらく、一般の方向けに分かりやすい表現となるように考えられた表現かなと思います。

多くの場合は可動域や筋力、重心位置などの左右差のことを指しているのではないでしょうか?

身体の左右差にも発生理由は様々であり、スポーツや仕事などである一定の動作を繰り返す人達では、筋の不均衡、靭帯損傷などのケガの後遺症を保護するための筋の過剰収縮などでも左右差が生じる場合があります。ある痛みを避けるために身体を右に傾けざるを得ない方もいるかもしれません。

中でも筋肉は「シーソー」や「天秤」のように複数の筋が均衡した状態で姿勢を維持しています。つまり、シーソーで例えると、どちらかの重量が軽くなれば反対側は相対的に重くなって傾いてしまいます。

それが身体の場合では、姿勢を思い通りに制御できなくなったり、重心のコントロールができなくなり、他のトラブルを引き起こす可能性もあり得ます。

末梢神経症状とは?

神経症状と聞くと何を思い浮かべるでしょうか?

生活習慣で発生しやすい神経症状は脳や脊髄以外の末梢神経、つまり、手足に伸びた枝のような神経でのトラブルが非常に多く見られます。

これは一見健康そうに見える方でも検査をすると軽度の症状が見つかる場合も珍しくありません。診断名がつかないまでも症状を有するケースが稀ではないということです。

神経症状というとシビレを想像するかもしれませんが、症状は多肢にわたります。

末梢神経症状

・感覚異常
  -シビレ・痛み
  -感覚が鈍くなる
  -感覚が過敏になる
・筋力低下
・深部感覚異常

感覚異常

感覚異常にも様々で現れ方があります。

例えば、温度40℃の「水」があったとします。一般的には「温かいお湯」でしょうか。

これが、感覚が鈍い部位で触れた場合、温かさをほとんど感じないぬるま湯に感じてしまいます。感覚が過敏である場合は40℃のお湯が50℃以上の熱湯に感じてしまい熱くて触れていられないかもしれません。

筋力低下

筋力低下では対象の神経の支配する部位の力が入りにくくなってしまいます。わずかな筋力低下であっても、体の左右差を作り出したり、異常な姿勢を作りだすのにそう時間はかからないことでしょう。

深部感覚異常

私は通常、目を閉じていても自分の身体の位置を正確に把握することができます。

慣れている自宅の階段なら照明なしの真っ暗闇な状態であっても転ばずに昇ることができるのではないでしょうか?

これは「視覚」を取り除いても、足の裏が地面に触れた「触圧覚」に加えて、○○の関節がどれだけ曲がっているか、○○の筋がどれだけ伸ばされているのか、身体がどれだけ傾いているのか、などを感知するセンサーが存在しています。

これらの深部感覚の異常は、脳や脊髄(中枢神経)の障害がなくても末梢神経のトラブルでもおこること知られています。

下肢に出やすい神経症状

腰椎を主な原因で起こす下肢に神経症状を紹介します。

「L(=Lumber)」というのは腰椎を指し、数字は何番目の神経かを表しています。

腰椎の神経症状の好発部位はL4、L5、S1(第4、第5腰椎、第1仙椎)になります。中でもL5、S1の症状が多くを占めます。

感覚異常は図に記載されている部位に現れます。

そして、筋力低下は足の指を反らせる筋、土踏まずを持ち上げている筋、つま先立ちをする筋です。

これにより日常生活では躓き転びやすくなったり、偏平足を招きます

そもそも、つま先に体重をかけられなくなり、重心がカカトに行きやすくなり、殿筋(お尻)や腹筋の筋力低下を引き起こし、理想の位置で姿勢を制御できなくなり肩こりになったりと症状は派生していきます。

ふくらはぎ が筋力低下すれば足首のくびれがなくなり足が太く見えてしまいます。お尻が筋力低下して筋肉が小さくなってしまうとウェストがなくなります。一つの神経症状で機能的にも見た目の面からも悩ましい状態と言えます。

左右差やバランスが悪い原因を把握してトレーニングしよう

この神経症状を放置してスクワットを行っても腰が丸くなって腰を痛めたり、なかなか正しいフォーム、狙った運動をすることが難しくなり、いくら頑張っても結果が出にくくなってしまいます。

  • スクワットをいくら練習しても内股になってしまう
  • 片足立ちが片側だけできない
  • 身体が左右どちらかに傾いている
  • 照明がない暗闇で頻繁につまづく
  • ひどい肩こりがある
  • 腰が痛くなる動作がある
  • 足にシビレや違和感を感じる時がある
  • etc

今回のケースはあくまで一例であり、個人で症状も環境も異なるので、PTや専門の方に検査や動作を診てもらいアドバイスを受けることをお勧めします。

そして、画像診断だけではこういった症状やお悩みの原因特定は困難です。

また、医療機関の整形外科で診察を受けたとしても、必ずしも運動療法を受けられるとは限りません。診断名が付かない軽症のケースや、ドクターが不要と判断された場合では運動器・動作の検査もなかなかしてもらえない…というのも稀ではありません。