運動は脳の機能を押し上げて、感情コントロールさえしてくれるという。
運動によって「脳力」がアップする。
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筋トレによっても 認知機能はアップする
ウォーキングのような低強度の有酸素運動でも、脳の海馬の容量が増え、認知機能は高まります。
このように、これまで多く報告されてきたのは有酸素運動が及ぼす脳への好影響でした。
では、筋トレのようなレジスタンス運動は脳にどのような影響をもたらすのでしょうか?
世界中の研究者たちが、今この分野に注目しています。
” 2017年に行われた実験では、マシンによるニーエクステンション(膝を曲げ伸ばしする筋トレ)でも実行機能の向上効果が得られたと報告されています。 ”
これまでも、サーキットトレーニングのような全身運動で認知機能が上がるという報告はありましたが、今回の実験で、局所的な筋収縮でも脳への良い影響があることが判明しました。
世のトレーニーには嬉しい知らせであり、トレーニングをまだしてないビジネスパーソンには、ぜひ初めてほしいです。
実行機能を高めるには 高強度運動の方が有効
有酸素運動は継続することで新たな脳細胞が新生され、海馬が大きくなります。
一方、筋トレという一過性の運動では、運動直後に脳の神経細胞同士のネットワークを密にする可能性があります。
運動中、筋肉から分泌されるマイオカインのうち、脳の神経細胞に働きかけるBDNFやIGF-1という物質がある。
オマイオカインとは、筋肉作動物質といって、筋肉から分泌される“ホルモン”の総称。
BDNFとは、神経系に作用し、神経組織の維持や、新たな成長を促す、いわば脳の栄養といった存在。
また、BDNFは脳においては、「海馬」「大脳皮質」「大脳基底核」に作用しているため、「学習」「記憶」「高度な思考」にも関与している。
IGF-1とは、インスリンに類似した分子構造を持つホルモンである。小児の成長に重要な役割を果たし、成人においても代謝を手助けする機能がある。
このうち、BDNFはどちらかというと有酸素運動で、IGF-1は筋トレでより分泌が促されると考えられています。
ここで注目したいのが運動強度です。
運動後、ただちに実行機能がアップし、それが維持される可能性は強度の高い筋トレに分があります。高強度間欠運動(HIIT)がそれに当たり、運動後30分間の実行機能は高いまま維持されます。
この結果を後押ししているのが運動開始とともに急上昇する「乳酸」です。
乳酸は脳に好影響を与えます。
乳酸は糖に代わる脳のエネルギーとしての働き、認知症予防効果も報告されています。
実行機能は情報を統合して最適解を導き出す能力。
だとすれば、筋トレや、高強度運動で乳酸を出して、プレゼンに臨めば、普段以上のパフォーマンスが期待できるかもしれない。
運動中の乳酸が分泌されている兆候は筋肉への痛みです。
「15回以上できるような内容の運動を反復」したり、「坂道をふくらはぎが痛くなるまでひたすら登り続ける」ことで乳酸は多く分泌されるはずです。
この筋肉の痛みは筋疲労」ではなく、乳酸が分泌されて、血行が一時的に悪くなっていることで起こるサインになります。
この痛みは休憩をすると、2~3分もせずにただちに回復するので心配はいりません。
例外として、ただちにこの痛みが回復しない場合は、四肢の末端に血行障害(血栓や浮腫みなど)があることが疑われるのでその際は専門家に指示を仰ぎましょう。