ウェイトトレーニングとは広い意味では自重運動を含めたダンベル・バーベルやマシンなどを使って筋力の強化を主に行われるトレーニングです。狭義ではダンベルやバーベルといった重量物を持ち上げるような運動を指します。
このウェイトトレーニング、主にダンベルやバーベルのような道具は、流行を集めだした分野とはいえ、まだまだその認知度は低いように思われます。
当ジムの見学者や、ダンベルやバーベルを初めて目にする方の中には、こんな言葉を耳にすることがあります。
そんなことはなく・・・と説明をする機会が増えてきたので、今回、ウェイトトレーニングの認知度や、リスクについて考えていこうかと思います。
目次
ウェイトトレーニングは危険?それとも安全?
ウェイトトレーニングが危険か安全かの結論を先に述べると、正しい使い方なら安全で女性や高齢者にも勧めることのできる良い運動です。
これは当然のことなのですが、どんな便利な道具や技術でも使い方を間違えれば危険なものになります。
例えば自動車は長距離を移動でき、荷物を大量に運んだりとなくてはならない存在ですが、一つ間違えれば人の命を絶つこともできますよね。
包丁に関しても料理の必需品ですが、誤った操作をすれば指を切ったり、凶器にもなり得ます。ですが、「包丁は危ないから私は素手だけで調理する」なんて人はいませんよね?
ウェイトトレーニングにもこれと同じことが当てはまります。
仮に車のまだなかった時代の人間に車を見せれば、見たこともない鉄の塊が高速で移動するのですから「怖い」「危ない」といった言葉は出てきても便利とは思わないかもしれませんね…。
ウェイトトレーニングが危険だと誤解を招いている訳
日本で未だにウェイトトレーニングにそんな危険の眼差しが当てられ続けられているのには医師や専門家の発言、現在のフィットネス業界の宣伝の魅せ方も影響しているのではないかと考えています。
- ウェイトトレーニングは危険だと断言する医師
- 人から相談を受ける立場だが知識のない専門家
- ウェイトトレーニング=ボディメイクという宣伝
ウェイトトレーニングは危険だと断言する医師
テレビ番組や雑誌などで、大雑把に危険と断言してしまう医師の方も存在します。
仮にも医療のトップに立つ職業の医師が、なんの根拠もなく否定しているのを見るとなんだか残念な気持ちになってしまいますが、多くの場合の言い分は…
もともと血圧の高い人が、筋肉に力を入れるとその瞬間にさらに血圧が上がって、一瞬でもそれが血管の限界を超えると、脳梗塞、脳出血を起こします。(1)
だそうです。
運動を続けていれば、循環機能が改善され高血圧の改善を図れるが、血圧が急上昇する高負荷ではリスクとなるのでお勧めしない・・・ということらしいです。
ごもっともなことを言っているようにも聞こえますが、重い物を持っただけで切れてしまうような血管は、遅かれ早かれ…というよりウェイトトレーニングをしなくても日常動作レベルの運動で疾患を発症するのでは…?と個人的には考えてしまいます。
そもそも、血管の耐久値、限界値もあやふやであり、高血圧症の診断基準も年々引き下げられ、一昔前までは患者ではなかった人まで患者にさせられているような風潮もあります。
リスクとして血圧の上昇や高血圧が危惧されるのであれば、運動前後で血圧測定を行い、負荷を決定していけば良いのではないでしょうか。
そもそも、医療機関での”高血圧症”の診断は原因や、血管の状態も不明瞭のまま、安静時の血圧の数値だけで診断がくだり、薬剤処方という流れが珍しくありません。
個人的には良くわからないものに対して、数値が高いから下げよう…という考え方そのものが危険ではないかと考えています。
筋肉を使う時、脳で思考する時、胃腸で食物を消化する時といった臓器を動かす時も、その際に使われている臓器に血液(エネルギー)は集中して、血圧は上昇します。
安易に血圧を下げてしまえば当然、筋力を発揮したい時に力が出せない、食事をとっても胃腸の働きが悪くなる、思考力が低下するといったリスクも秘めているのではないでしょうか。
これは、脳出血という最大のリスクを回避するために、運動機能や臓器の働き、日常生活を犠牲にするという考えになります。このデメリットを聞くと、薬物とはなかなかのハイリスクに感じるのではないでしょうか…。
いつ起こるのか分からないものに対して人は恐怖し、保険をかけたくなります。
極端な話、交通事故にあいたくないから家から一歩もでない。隕石がいつ降ってくるか分からないから地下シェルターで一生過ごそう…という考え方とそう変わらないように感じます。
人から相談を受ける立場だが知識のない専門家
プロ=その道の知識なり、技術で金銭を得ている方だと考えています。
つまり、プロとアマの差は中身ではないと思います。
つまり、専門性がなくてもプロを名乗ることができます。
その道でご飯を食べているが、知識がないので答えられないし、責任も取れない。
分からないのだから人に勧めることはできませんし、一般の素人と同様に「危ない(かもしれない)のでやめましょう」になってしまいます。
医療や身体に関する専門家といえど、その分野に興味があり調べたり、勉強しない限りは「良くわからないもの」でしかありませんからね。
新しい情報をまだ知らないというケースもあるので誰を頼ったら良いのか難しいというのが現状でしょう。
与えられた情報を鵜呑みにするのではなくて、自分でも情報を取捨選択する力を身に着けることも現代を生きるには必要なのではないでしょうか。
ウェイトトレーニング=ボディメイクという宣伝
ウェイトトレーニングはボディービル、フィジーク、短期間の過酷なダイエットに用いられるなどといったイメージが、パーソナルジムやフィットネス業界の宣伝の影響で浸透されてしまったように思われます。
これが別に間違った解釈というわけではなく、その分野だけに用いられるのがウェイトトレーニングと思っている方が多い印象を受けます。
ゴルフや、テニス、野球などのプロ選手が愛用する道具と同じモデルは飛ぶように売れると聞きます。
しかし、ことウェイトトレーニングの分野では…「あそこまで筋肉隆々になりたくない」といった、どこか行き過ぎた感覚に陥っているのではないでしょうか。
プロスポーツ選手の使っている道具を使いたい、キレイな俳優や、モデルが使っている化粧品を使いたいという願望は、「あの人のようになりたい」という憧れからくる感情かと思われます。
現在多く見られるフィットネス業界の「ムキムキの身体を手に入れよう」のような魅せ方では少々暑苦しく感じてしまう方が少なくないのかもしれませんね。
本来フィットネスとは
肉体的観点、健康的観点で望ましいと考えられている状態に適っている状態、およびそういう状態でいること、そういう状態でいる/状態になるために行う行為・活動などを指している。すなわち健康のための運動である。(Wikipedia)
ボディメイク以外にも健康増進、運動機能の改善、腰痛や肩こりといった痛みの改善にも効果があり、幅広い層の方に勧められるような魅せ方を探し出すことが現在の私の目標でもあります。
ウェイトトレーニングは安全で簡単
安全で効果のあるウェイトトレーニングを楽しみながら知ってもらいたいと考えています。
一見難しそうに感じられますが、個人的には自重だけで行う運動の方がよっぽど難しいと思います。
体重100kgの人が腕立て伏せや、懸垂を行おうとすれば、単純に最低の重量は100kgからスタートになります。これは場合によっては危険と言えるかもしれませんね…。
一方で、ダンベルやバーベルではウェイト・負荷量を自由に選択でき、軽い負荷の運動も設定することができます。おまけに数値がはっきりしているので計算も比較的簡単に行えます。
次回はこの件に関して掘り下げた記事を投稿しようと思います。