今回の内容は前回の記事<ウェイトトレーニングは危険?それとも安全?>の続きになる安全な負荷量の選び方です。

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重いウェイトを扱うと筋肥大しすぎて太くなりそうで怖い ・・・
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軽いウェイトで回数を多めにするだけでも効果はあるって聞いたことがあるけど本当?
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見た目は特に気にしないから仕事や生活での動作を楽にしたい(パフォーマンスを向上させたい)

このような内容の質問が概ね多いようなので”負荷量の選び方”といっしょに答えていきたいと思います。

ウェイトトレーニングでの安全で効果的な負荷量の選び方

当ジムでは初心者でも安全に扱える負荷量として12RM(12回上げられる重量)での重量を選ぶようにしてもらっています。

未経験の初心者の方はいきなり重量の重いウェイトを選んでしまうとフォームが崩れてしまって狙った運動にならなかったり、無理やり持ち上げる動作はケガのリスクにもなってしまいます。

自分の最大筋力が分からないうちは軽めのウェイトからスタートして、「12回上げることができたら、小さいウェイトをプラスする」を繰り返します。

いずれ12回未満の回数しか上がらなくなると思うので10回や8回しか上げられなかったウェイトから、自分が上げられるであろう最大の負荷量(重量)を計算できます。

1度きりしか上げられないウェイトを「反復可能最大重量」と言い、一般的に「1RMと呼ばれます。

RMとは

RMとはRepetition Maximam(反復可能性最大重量)の略です。

1RM=その人が1回だけ持ち上げられることのできる最大重量を示します。
1RM=その人の持つ100%の力 ということになります。

※RMの計算については別記事<RM測定>で紹介します。

この1RMの70%~80%負荷量が筋肥大に最も適していると言われ、8~12RMに相当します。

運動を始めて2カ月前後は全ての運動で1RMの70%である12RMの負荷量(12回なんとか上げられる重さ)で運動セットを組むことをお勧めしています。

これを3~4セット行います。

3セット目や4セット目には疲労のせいで上げられる回数が少なくなるかもしれませんが、8~12回の間であれば、無理に12回上げる必要はありません。もし、8回未満しか上げられなくなったら次のセットではウェイトを少し落とします。

仮にスクワットを50kgで12回を4セットで運動を実行しようとした場合の例を挙げます。

  • 1セット目:50kgを12回上げられた
    →ウェイトの変更はせずに2セット目を続行
  • 2セット目:50kgを10回上げられた
    →8~12回なのでウェイトの変更はせず3セット目を続行
  • 3セット目:50kgを6回までしか上げられなくなった
    →8回を下回ったのでウェイトを40~45kgに下げ4セット目を行う
  • 4セット目:40kgを12回上げられた

これで予定していた運動回数とはズレがありましたが4セット完了という形でOKです。

セット間のインターバルはウェイトによって長くなっていきます。基本的にはこの回数の運動ではインターバル(セット間の休憩時間)をしっかり設ければ、ダラダラと汗を大量にかく運動ではありませんインターバルは90秒から3分ほど設けてもかまいません。後半のセットで全然上がらなくなる方はインターバルが短すぎるのが原因かもしれませんね。

そして1~4の全てのセットで12回こなせるのであれば、次回の運動の日には重量を1段階プラスして12回4セットの運動を組みます。

運動を始めて間もない初心者にはこのルーティンをお勧めしています。

基本筋肉痛の部位は休養を必要とし、最低48時間、椎間板に負荷が大きくかかるスクワットやデッドリフトでは72時間の休養を必要とする場合があります。年齢やその時のコンディションにもよるので「週3回は絶対運動する!」「月曜日と木曜日は必ずスクワットをする!」というようにキッチリ決めなくても個人的には良いと考えています。

短期間での身体の変化はリスクにもなり得るので無理なく休養をさみながら続けていきましょう。

目的別の負荷量の選び方

さて、ここまで述べてきたことは運動初心者が負荷に慣れるための身体造りであり、いわば基礎練習と言えます。

目的に応じて運動のバリエーションをつけていくことができます。

多くの筋力トレーニング、ウェイトトレーニングで刺激・負荷を与えて機能改善、能力向上を図れる組織は大きく3つに分類されます。

  • 筋肉
  • 神経系
  • 循環器系(心臓・血管・肺)

筋肥大

先にも述べた8~12RMでセットを組むことで筋肥大を効果的に狙うことができます。

最も一般的で主流の運動方法と言えます。

筋組織の破壊、いわゆる筋肉痛になりやすいのもこの8~12RMの負荷量になります。

加えて更に効率的に筋組織の破壊を促したい場合は対象とする筋にストレッチをかけたポジションで負荷を与えることも効果的かつ、関節可動域の改善にもつながります(身体が柔らかくなる)。

神経系の強化

この神経系を鍛えるのに有効なのが4~6RMの負荷量となります。

初心者がいきなり手を出すには、扱いにくい重量になるので十分な練習を行ってから挑戦することをお勧めします。

「神経なんて鍛えられるの?」

と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、筋肉のように太く強靭になってくるというイメージとは少々異なります。

人の身体を機械に例えると筋肉がモーターなら、神経は電線や導線にあたります。

いくら大きなモーターを積んでいても、いくら数多くのモーターを積んでいても電気が供給されなければ効率よくモーター(筋肉)は働いてくれません。

運動は1種類の筋肉だけで成り立っているものは存在しません。たくさんの筋肉が共に協調しあって一つの運動を行っています。

この高負荷のウェイトを選ぶ際の最大の特徴は筋肥大が起こりにくいことにあります。

筋肥大が起こりにくいので、体系をキープしたままパワーだけを向上させたいケースに適しています。

運動パフォーマンスを向上させたいアスリートや、日常生活や仕事での疲労を軽減したいと考えている方にもお勧めできる方法となります。

例えばスポーツの中では良く行われるジャンプ動作ですが、筋肉を肥大させれば筋力はアップするかもしれませんが、同時に体重も増加してしまうためなかなかジャンプ力の向上にはつながりにくいと言われています。

そこで筋肉の肥大を抑えて体重増加を抑え、パワーだけ強化するといった方法が好まれるというわけですね。

4RMを4セットの運動では筋肉痛にもなりにくいため、筋肉痛になると仕事や日常生活に支障が出て困るといった方にもお勧めできます。

筋を総動員する種目でセットを組むことが向いている負荷量となります。

  1. ベンチプレス
  2. スクワット
  3. デッドリフト

で行うのが良いでしょう。

注意点

高重量を扱う場合はセイフティーをと安全の確認を十分行い、インターバルも3-5分程度と長めに設けてもかまいません。
疲労で上がらないようなら次のセットからウェイトを下げて調節していきます。

循環器系の強化

最後に循環器系、主に心臓・血管への刺激・負荷になります。

これはいわゆる低負荷高頻度の運動となるためRMの計算をしっかりする意味はあまり重要ではありません。

目安は20回の運動を行える程度の負荷量、おおよそ1RMの30%以下の重量を選択します。インターバルも短めの30秒前後で行います。

この方法はどんな軽い重量を選んだとしても20回そこそこで、対象部位に痛みを感じ続行不可能になります。これは上記の運動でおこる筋疲労ではなく「乳酸」という疲労物質の蓄積が原因で起こります。他にも二酸化炭素や、酸素不足、血液(エネルギー)の一時的低下が起こりますが、痛みの原因として捉えられているのが乳酸と言われています。

血液や酸素が対象部位から急速に失われ、身体の反応としては失われた部位にエネルギーを運ぼうと心臓の鼓動が早くなり血液を必死で送ろうとします。その際に間接的に心臓への負荷となり心臓の強化にもなるのではと言われ、心臓リハビリの手段としても用いられるケースがあります。

また、失われた部位に血液が急速に送られる影響から血管内のコレステロールなどの不要物を洗い流してくれる役割もあり、循環器系に主に効果のある運動方法ではないかと考えられています。

また乳酸による脳への負荷と、血管内壁を洗浄する効果により認知症の抑制ができるのではという研究も進められているようです。

中にはこの一時的なストレスにより筋肥大が見込まれるというデータもあり、筋肥大を目的とされる方にも使われています。

しかし、この低負荷高頻度の運動の特徴として、主観的な運動の「辛さ」は先に述べた高負荷の物に比べ辛いと言われています。

使った部位の痛みと、心拍数の急上昇、発汗があるので、低負荷だけど実は最も辛い運動になります。

運動を終えた後の疲労感や興奮は一種の麻薬のような作用からか、「コレをやらないと運動した気になれない」という方もいらっしゃるようです。

ウェイトトレーニングでの負荷量の選び方まとめ

  1. 初心者は運動に慣れて、身体の基盤を作るために2カ月前後は12RMの負荷量でベンチプレス、スクワット、デッドリフト+懸垂あたりをメインに行うのがお勧めです。
  2. 慣れてきたら4RMで上記の運動を行い、自分の特に欲しい部位の筋肥大運動(8~12RM)を行っていきます。
  3. 余力があれば低負荷高頻度の運動を行うか、トレッドミル(ルームランナー)で循環機能の向上を狙います。
  4. 運動の頻度を十分設けられる方は運動部位を分けたり、今回紹介した負荷のかけ方を変えていくのも楽しく続けられるポイントとなるかもしれません。

目的によって運動の選び方は大きく違ってくるので今回はあくまで1例として紹介させていただきました。

例外を全て網羅しようとするとなかなか難しくて、長くなりそうなので今回はこのあたりで締めようと思います(^^;

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